小説「虐殺器官」
- 2011/01/03
- 02:27

「虐殺器官」 伊藤計劃 著
主な受賞歴
「ベストSF2007」第1位(国内)
「ゼロ年代SFベスト」第1位(国内)
「SFが読みたい! 2008年版」第1位
「月刊プレイボーイミステリー」大賞1位
2009年に34歳という若さで他界した
伊藤計劃の長編デビュー作(2007)。
【あらすじ】
アメリカの暗殺部隊、特殊検索群i分遣隊 の活躍を描く。
主人公クラビス・シェパード大尉は
標的である、謎の男ジョン・ポールを長年追い続ける。
標的の愛人の居場所を突き止めたことから
クラビスに暗殺のチャンスが訪れる。
【感想】
やられました。
大傑作。
これは。
もの凄くよく出来たSFアクション映画です。
小説じゃなく、映画を読みました。
圧倒的文章力!!!
近未来が舞台で
近未来的な道具がたくさん出てくるが
全て脳内で変換されました。
スタイリッシュなアクションシーン!
(「攻殻機動隊」や「レインボーシックス」的な)
アクションもいいし
部隊仲間同士のセリフのやりとりがかっこいい!!
心理描写やテーマもたたみ掛けてきます。。
痛みとは何か?
死とは何か?
戦争とは何か?
正義とは何か?
悪とは何か?
考えさせられる題材満載です。
シェパードとジョン・ポールの対峙場面は
映画「セブン」のミルズとジョン・ドゥの会話場面を彷彿。
とにかくそれぞれの場面がセンスあります。。
この作品が素晴らしすぎて次の読書がこわい。かすんでしまう。
次もSFにしようかな。海外のにするけど。
読みやすさ
★★★☆☆
専門用語やサブカルチャーネタ(特に映画)が多いです。
女性にはあまりオススメしないかな。
【ネタバレ感想】
ラストの展開にはビックリしましたが、あれでいいかと。
でもウィリアムズの散り様が描写されていないのと(死ぬとは思っていた)、その最後の扱いはもっとかっこよくしてほしかった。
【余談】
俺はこの本を読んで泣きました。
本編じゃなく
あとがき解説で。
ここで、著者の人生や
著者が死に至るまでの日記や母親の話などが語られています。
病魔に冒されていたのは2001年頃からだったらしいです。
本編のラストは
「感謝を捧げます 私の困難な時にあって支えてくれた両親、叔父母に。」
こう締めくくられます。